うらそえ日記

奇談小説家・早見慎司(早見裕司)の公式ブログです。
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黒ノ十三

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     「黒ノ十三」は、PS(初代)向けの、サウンドノベルです。

     当時、まだ原稿を残しておく習慣がなかったので、自分で書き起こすのも面倒だな……と思っていたら、ニコニコ動画で生中継をやって下さっている方がいらしたので、それを元に、原稿を再び、書いてみました。いや、これが時間がかかる。まあ、一本で400字詰め50枚程度あるので、当たり前なんですが、三本起こすのに、4,5日はかかりました。

     私が担当したのは、「雨に泣いている」、「彼女の図書館」、「女嫌い」の三つで、ちょうど某社の新刊が発売延期になって四苦八苦していたところに、監修の綾辻行人さんが、「書いてみませんか」と声をかけて下さったものです。

     「雨に泣いている」は、一発で決定、「彼女の図書館」はラストを、ゲーム読者(っていうのも変ですが)向きに、ハッピーエンドに書き直したもので、「女嫌い」は、綾辻さんからは、びしっ、と言われたのですが、当時の私に直すスキルがなかったので、とりあえず、提出したものです。

     綾辻さんは物腰の優しい方なので、「女嫌い」は、「10年ぐらい寝かせて、書き直してみるといいよ」、と言ってくださったんですが、今回、テキストに起こしてみると、まあ、なんと言いましょうか……ごめんなさい、と世界に叫んで脱兎のごとく走り去りたい気持ちです。こんなにひどいとは、思っていませんでした。

     絵と音に助けられて、「こわい話」とはまあまあ言えるんですが、とにかく文章がなってないです。

     どういうものかごらんになりたい方は、ニコニコ動画で探してみて下さい。

     何はともあれ、この「黒ノ十三」のおかげで、私はホラー作家の端っこに入りました。それ以前には、雑誌「コサージュ」の短編(これも、「奇談」というくくりには入ったり、入らなかったり)しか書いたことがなかったのが、これらの作品を書いたことで、太田忠司さんに誘われて「悪夢が嗤う瞬間」(ケイブンシャ文庫)に参加したり、井上雅彦さんに「異形コレクション」(廣済堂文庫、光文社文庫)にお呼びがかかったり、津原泰水さんに「12宮十二幻想」(講談社文庫)に誘われたり、とにかく楽しい時間を過ごしたものです。

     最近は、短編を書く機会が少なくなっていますが、またなんとか、書きたいものです。

     

     

     

     

     

     

     

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    頑張れペアレンタルコントロール(やや暗い)

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       前に書いていたら、ごめんなさい。

       少し前に、「Mr.サイレント」をいま、読んだという女の子から、メールが来ました。「Mr.サイレント」を読むとお分かりになりますが、ヒロインの中垣内真理香は、独自のメールアカウントを持っていて、そこへメールすると、私ではなく真理香が返信をします。この辺の、登場人物と私との距離感は、長く読んでいただくと、分かりますね。いや、分かってもらわないと困るのですが。

       で、その読者の子は、図書館で真理香アカウントを知った、というので話していたのですが、何を使ってネットアクセスしているのか訊いたら、3DS だというので、ずいぶん若いなあ、と思いました。

       そのメールが、最後となって、その子は突然メールをくれなくなりました。私は、読者については、来るものはときどき拒む、去るものはときどき追いかける、なので(なんの話だっけ)、飽きたのかな、と思って、でもメール2通で飽きると思えないし……と、ちょっともやもやしていたんですが、最近、気がついて、ああ、これはペアレンタルロックをかけられたな、と。

       そりゃそうですわねえ。「見知らぬどこかのおやぢが女の子になりきって、若い女の子とメールのやりとりをする」、というのは、誰が見ても、危ないおやぢです。もっとも、私が真理香になりきっている、というのは、私の場合、違うのですが、たぶん説明しても分かってもらえないでしょうし、真理香のメールが届くということは、迷惑メールなども来る可能性はあるわけで……。

       まあそういうわけなので、その子の親御さんはしっかりしているんだなあ、と思いました。

       私としても、私の作品の読者が、ネットの毒牙にかかるのは当然、望みませんし、いいことだ、と思います。

       

       それを踏まえた上で、世知辛い世の中だ、とも思います。

       「Mr.サイレント」を書いていた頃は、一日ふた桁の感想メール、あるいは真理香へのメールが来ていて、うれしい悲鳴をあげていたのですが、もう、そういうのは、ほぼ犯罪になってしまうのだなあ、と。

       これからは、ちゃんとした運営会社の下で、「中垣内真理香」は架空の存在であって……みたいに告知してやるしかないのかなあ、と思うと、淋しいですね。それに、その方が、何やら課金商売になってしまいそうでもあります。

       私に言えるのは、真理香と季里は、これからもメールアドレスを持って、読者に対峙するであろう、ということです。

       あのとき3DSでアクセスしていた子どもが、大きくなって、いろんなことが自分でできるようになって、そのとき、私のメソッドが分かってもらえて、こういう「遊び」に乗ってくれるのなら、私は大歓迎であります。

       ただ、真理香の存在のあり方が、分かってもらえることが前提ですが。

       「登場人物は、作者の頭の外にいる」、という認識論ではけっこうアタリマエのことが、分かってもらえるなら、ですが。

       

       

       

       

       

       

       

       

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      一生の不覚(飯塚定雄さん)

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         私が、文字でお金をもらい始めたのは、幻のSF雑誌「SFイズム」からなんですが、そのとき、ライターとして、編集のHさんと、特撮合成のトップ、デン・フィルム・エフェクトへ取材に言ったんですね。お話は、主に、光学撮影の中野稔さんがして下さっていたんですが、隅の机で、黙々と絵を描いていらっしゃる方がいらして、それが代表の飯塚定雄さんだったわけです。

         で、ここからが恥なんですが、私、飯塚定雄さんって、何をした方か、全然、知らなかったんです。

         今ならネットでいくらでも調べられますし、あるいはちょっとネットでつぶやいてみれば、タコ殴りにされる、と思うんですが、私の手許には、ファンタスティック・コレクションが2冊ぐらいしかなく、まだアニメージュに入っていなかったんで、池田憲章さんや徳木吉春さん、中島紳介さんといった方とも知り合いではなかったもので、貧困なる知識で、「『ウルトラマンのタイトルバックを描いた人』」、と誌面で紹介してしまったんです。

         それから何年かして、飯塚さんが、地球防衛軍とかキングギドラとかに始まる、東宝特撮の光線作画を、ものすごい量、描かれた方だ、とようやく知って、私、真っ青になりました。特撮ファンの恥、オタクとしての底の浅さ、まさに一生の不覚でありましたよ。

         飯塚さんは、どれとは言えないんですが、(この辺Wikipedia には不満があります)今もまだ、光を描いていらっしゃるようです。何か機会があったら、お詫びしたい、と思います。

         

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        セキュリティ

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           もう、2年ぐらい前になるでしょうか。

           そのずいぶん前に、私は「Mr.サイレント」というライト・ミステリ(本当に「ミステリ」かどうかの議論は、勘弁して下さい……著者にもいろいろあったんです)を書いていて、中に出てくる、中垣内真理香という女の子、専用のメールアカウントを作ったんですね。これが、読者の反応がよくって。発売当初には、一日10件単位で、真理香にメールが来ました。

           私の、昔からの読者の方ならご存じのように、私は、登場人物に憑依します(人物が憑依するのではなく)。今もやっている季里ブログ(水淵季里のつぶやき) や、「世界線の上で一服」のときのエリス日記などなど……そういうわけで、真理香としてお答えしていたのでした。

           それが、最近になって、図書館で「Mr.サイレント」を読んだ、という中学か、ひょっとしたら小学生かもしれない女の子の読者から、真理香宛のメールが届きまして。で、真理香として雑談で、「学校のパソコンでアクセスしているの?」と訊いたら、「3DSで」というので、「へえ〜」と感心したんですが、その直後から、メールが来なくなりました。

           残念だなあ……と思ったのは、若い読者の話を聴いてみたかったからなんですが、客観的によく考えてみると、まあそらあ、女子高生(真理香は中退ですが)「に成り切った」おっさんと、自分の娘がメールのやりとりをしていたら、ペアレンタルコントロールをかけるのは、ごく自然なことだなあ、と思うようになりました。

           いまは、そのお子さんがネット犯罪などに巻き込まれることなく、健全なネットライフを送っているのを祈るばかりですが、あのとき、ことばを尽くして返事を書けば、健全なやりとりができたかもしれない、と思わないではありません。

           でも、親御さんは、まちがっていない、と思います。

           ネットの世界では、自衛が基本ですから……。

           

           

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          人それぞれの忙しさ

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             夏近し 人それぞれの忙しさ

             なんでも、「人それぞれの忙しさ」をつけると、川柳か俳句になるような気がします。「古池や 人それぞれの忙しさ」、とかね。

             というわけで、このところ、筆が滞っていたのは、ひょっとするとシナリオを書いたせいかもしれません。

             世の中には、小中千昭さんのように、脚本を書かせても、小説を書かせても一流、という人がいらっしゃいますので、一概には言えないのですが、私の場合、シナリオと小説は、脳の別の所を使うらしく、長く一方をやっていると、切り替えに時間がかかることがありました。

             その上で、小説専業(「少女ヒーロー読本」もありますが、あれはまあ、ね)を選んだのは、シナリオの仕事は体に悪いからです。特に私の場合、いきなりシリーズ構成をやったのと、ネット雀を受け流す心の広さがなかったので、終わった頃には、心身がぼろぼろになっていました。

             その小説も、ここの所、滞っていますが、水面下では遅いながらも少しずつ進めていますので、長い目で見てやって下さい。

             この2,3年、実にいろいろなことがあって、一時は小説家廃業に追い込まれそうになりましたが、やはり私は、小説が好きですし、執着もあるので、あとしばらくは小説で頑張りたいと思います。

             あまり細かいことを書くと、ぼろが出るので、まあ、頑張ってます、というところで。

             

            【ご注意】このエントリーには、数か所の空白が入っていますが、これは私のほうではどうにもならない問題のようです。申しわけありません。

             

             

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            シナリオ

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               20年ぶりに、シナリオを書きました。実写映画で、3人の共作です。
               最初は監督が書いて、別の方が2稿を書いたのですが、ちょっとイメージが違う……というので、3稿が私に来て、なにせ20年ぶりですから緊張もしましたが、結果はOKで、更に監督が発展させて4稿を書き、私が5稿を書いて、準備稿となりました。その間、半年以上です。
               もうシナリオは書くまい、と思っていたのですが、監督の人柄に惚れ込んで、全力は尽くしました。
               しかし、監督というのは怖ろしいもので、最後の最後に、クライマックスのシーンを差し込んできたのですが、これが圧巻。私には文句はまるでありませんでした。アイディアがすごいですね。
               できれば、早く具体的なことをお知らせしたいのですが、いまはまだ、何も言えません。脚本も準備稿ですから、これから変わるかもしれないですし、クランクインは9月予定ですので(遅れないか、ちょっと心配)。
               無事、成果が出て欲しい、というか、ファミリーピクチャーなので、多くの人に見てもらいたい、と思います。

               しかし、監督は、信頼できる方だ、と思います。どんな細かい質問にも応えて下さいますし、互いの立場を尊重して下さる方です。
               というわけで、またしばらくお待ち下さい。
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              「あしたも、友だち となりのウチナーンチュ」

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                 あした(読む時間によってはきょう)、角川文庫から「あしたも、友だち となりのウチナーンチュ」が、発売になります。ひょっとすると、もう店頭に並んでいる所もあるかもしれませんね。
                 この作品は、2007年に理論社から、ハードカバーで出たものに、加筆訂正を加えたものですが、あまりいじり始めると、作品世界が壊れますので、そんなに大きくは違っていません。わかりやすい所では、精神衛生法32条に関する訂正、カラオケで彩華が歌う歌、などがあります。
                 私からのお願いですが、この本が出て、読書感想文コンクール・中学の部の課題図書で読んだ、いま、二十代の前半から半ばの人にも、できたら読んでみていただきたいなあ……と、思います。沖縄よいとこ一度はおいで、になっていない、ビターな部分にも、思いを巡らせてもらえれば、と思うのです。
                 もし、もし売れてくれれば、続編を書くのもやぶさかではありませんので、そういうことも含めて、買っていただければ、と心から願わずにはいられません。
                 ときどきかんちがいされるので、しつこく書きますが、図書館でいくら読まれても、新古書店(ブックオフとか)で買われても、著者には一円も入ってきません。それで必死になっているところも、もちろんあります。
                 ですが、お読みになる際は、単にほのぼのファンタジイ、少女たちの仲良し物語、と、取っていただいても、それはそれで、かまいません。とにかく、一冊でも夜に広まってほしい、と思います。
                 よろしくお願いいたします。
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                誤植・誤用と、「よかった。」のひと言

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                   この仕事をしていなくても、本の誤植というのは、気になるものです。
                   せっかく快調に読み進めていた本に、誤植や誤用があると、ちょっと冷めますね。
                   ただ、これ、しかたのない面もあるんです。ロシアのイリーンという人が書いた「人間の歴史」だったか「書物の歴史」だったかなあ……いま、調べがつかないんですが、そういうような表題の本で、書物の歴史について語っていて、人類は、出版物が出てからずっと、誤字脱字誤訳誤変換を繰り返してきた、と。それでもなくならないので、誤植のない本を作ろうと、狂気じみた努力をして、ようやく、誤植のない本を完成させた、――と思ったら、扉の表題に誤植があった、とまあ、そういうことを言っています。
                   これほど、難しいミスを、私も何度となく繰り返してきました。
                   で、「満ち潮の夜、彼女は」と「ずっと、そこにいるよ。」の2冊は、鬼の校閲者・石飛是須さんが、すばらしい校閲を行ってくださっていたのですが、それでもミスは出ます。
                   もっともこれは、私が悪く、「満ち潮の〜」で、「岩崖」という言葉が出てくるのですが、石飛さんのほうから、「この言葉はありませんが……」と言われて、『親知らず子知らず』という合唱曲にこの言葉が出ています、と言って戻したのですが、2年ぐらい経って、その曲を聴いてみたら、「岩陰」と言っていて、顔から火が出るほど、恥ずかしい思いをしました。
                   そういえば、このブログというかサイトでは、作品のバグ修正をするという意味があったんですが、しばらく忘れていましたね。まあ、忙しいのもありますが、できるだけ、バグフィックスをしていきたいと思います。

                   で、表題の「よかった。」ですが、Twitterで「ずっと、そこにいるよ。」を読んだというごく一般(だと思いますが……)の方のツイートがあったんで、思わずリツイートしてしまいましたが、「読んだ。よかった。」と、ただそれだけのコメントですが、この言葉が、どれだけ作者を励ましてくれるかは、分からない、と思います。
                   ひと言でいいんです。それがいちばん、心にしみます。
                   「あしたも、友だち となりのウチナーンチュ」が、「よかった。」になってくれればいいんですが。あ、もちろん、売れなければ、そのお言葉も無駄になってしまうので、とにかく「よかった。」のひと言が助けてくれる一番の声援です。
                   
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                  見本出来

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                     「あしたも、友だち となりのウチナーンチュ」の見本が届きましたので、ブログのほうにも書影を載せておきます。
                     イラストは、ヨシタケシンスケさん、デザインは、長いことお世話になっているモリサキデザインさんです。なかなか飽きのこない、かわいい本だと思うのですが、いかがでしょうか。
                     早いもので、親本(単行本のほうですな)が出てから、9年近くが経ちますが、内容は……まあ、読んでみていただけませんか。
                     解説は、柴田よしきさん。この解説が、名調子なんです。生まれてから今まで、こんなにほめられたことがないんじゃないかという……自分で言うことじゃないですね。失礼。でも、天高くまで持ち上げられた感じです。
                     なお、この小説は、私の中では、ホラーまで行かない「奇談」です。ホラーにアレルギーのある方にも、読んでいただけるのではないか、とワタクシは思っております。一応、霊は出るんですけどね。
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                    「おにぎり、温めますか?」

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                       5/25頃、角川文庫から発行される、「あしたも、友だち となりのウチナーンチュ」の中に、コンビニで「おにぎり、温めますか」と訊かれるかどうか、ちょっとしたやりとりがあるんですが、ついさっき、どこかのニュースサイト(J-CASTだったような気がしますが、自信はありません)で、「おにぎり、温めますか」と訊くのは沖縄県独自の風習では? という「ニュース」がありました。
                       でまあ、これは理論社から単行本・ハードカバーで出たときに、チェックが入った箇所なのですけれども、北海道、東北、関東の一部でも同様に訊かれる――というのが、調べた(正確には、いろんな人に訊いて、確認した)結果なんですね。
                       先のニュースサイトでも、北海道出身のスタッフが「温めますか」と訊かれる、と言っていた……という所で終わっていますが、誰も調べていないんだろうなあ、という感想です。まあ、調べても、世論が動くような類のニュースではないので、雑談の種にしかならないことかもしれませんが、小説というのは、基本的に雑談ですので、ちょっと書いておきました。
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