うらそえ日記

奇談小説家・早見慎司(早見裕司)の公式ブログです。
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採用

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     それは私も、もの書きである以上、原稿が採用されることは何よりもうれしいのですが――。

     ほら、もう嘘をついている。一番うれしいのは、正直言って、印税が入ったときです。それはねえ……私は職業として小説を書く、と決めて三十年やってきたんですから、商売繁盛万々歳です。

     それとは別に、人生で一番、うれしかった「採用」があって、何かと言えば、ラジオの深夜放送への、葉書の採用です。

     糸居五郎、というDJをご存じでしょうか。バンドで皿を回しているDJではなく、ディスクジョッキー、つまりラジオのパーソナリティーということですが、その、日本での草分けとして、偉大な、『オールナイトニッポン』の伝説のDJです。

     書いている内に、この話は前に書いたような気がしてきましたが、まあご勘弁下さい。とにかく、その糸居五郎さんの末期に、私は寝たふりをして、布団の中で『オールナイトニッポン』を聴いていたのですが、いつの間にか眠ってしまいました。

     ――人生には、不思議な瞬間が何度かあるものですが、眠っていた私が、ふっ、と目を醒ますと、4時頃になっていたと思います。『オールナイトニッポン』の、その頃で言う2部ですね。どうして眠ってしまったのか後悔しながら、耳を傾けると、私は全身の血が逆流しました。

     (これは私の書いた葉書だ!)

     そうなんです。たまたま目が醒めたら、たまたま糸居さんが私の葉書を、読んでくれていたのです。

     葉書の内容もしっかり覚えていますが、言うほどのことではありません。とにかく、40年経ったいまでも、あの時間は忘れられません。

     そのときにリクエストしたのは、「悪魔の呪文」という海外のロックでした。

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    出る出る詐欺

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       去年は本を出す、と言っていたのですが、もう2月も半ばになり、どうも危なくなってきました。

       うーん……これが出る出る詐欺ですね。正直、参りました。

       ただ、連日、書かない原稿を広げているだけでは、本当に詐欺ですので、新たな販路を求めて、大風呂敷を広げているしかないのですが。

       だって、ブログでいちばん読まれているのが「吸血姫美夕」の話題で、それが20年前の話、と言うんじゃ、情けないじゃないですか。ねえ(誰に向かって訊いている)。

       そういうわけで、かろうじて小説の世界にいる限り、「出る」ではなく「出す」、と行きたいもんです。

       

       近況も書いておくと、歯を二本治療していて、一本は抜歯、もう一本は歯根の治療ですが、楽そうに見えた歯根の治療のほうが、どうにも痛くて日々泣き暮らしています。

       まあ、虫歯は自己責任のところもありますし、とにかく治るまでやるしかないんですが。

       

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