うらそえ日記

奇談小説家・早見慎司(早見裕司)の公式ブログです。
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20年目、美夕は無事。

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     前にも書いた通り、いまはTV「美夕」の放映終了20周年です。

     私の周りでも、また「美夕」が観たい、という声があったのですが、この度「チャンピオンクロス」というWeb雑誌で連載が再開していることが分かりました。

     TV「美夕」と、直接は関係ない、とおっしゃる方もいらっしゃいますが、まあ、いいじゃありませんか。美夕は、OVA、漫画、ドラマCD、TVと姿を変えながら、軽やかに「生きて」いるのですから。

     というわけで、調べている間に、時間が経ってしまいましたが、これを機に、新しい「美夕」が観たい、と私は思います。でも、あの「美夕」は、たしかに「『あの美夕』なんだろうなあ、と思います。

     とりあえずは、漫画連載おめでとうございます。

    吸血姫美夕 | permalink | comments(0) | -

    TV「吸血姫美夕」大昔語り・16(完)

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      (美夕の『人物像』
      『早見裕司』
      う〜んと、ビデオでは美夕は非常にコケティッシュな....っていうんですか?
      『TOMCAT』
      そうですね、小悪魔的な感じですね。だからその辺は違うでしょう、寡黙で、っていう....。
      『早見裕司』
      ええ、それはまあ、つくってる側として、西洋神魔編を経ての含みを持たせたってコトはあるんですけど。ま、もう一つは、私が書くと大体ああなっちゃうっていうのはあるんですが....。
      『TOMCAT』
      要するにやっぱスケバンラインですよね。
      『早見裕司』
      ただその時にね、父との対立っていうのは、あんまり思い浮かばないんです。スケバン刑事だってガラスの仮面だって、父親、関係ないでしょう?で、父と子の確執ってのは、ボクあんまり好きじゃないんですよ。
      『TOMCAT』
      こないだ言ってた父性の問題ですかね?
      『早見裕司』
      う〜ん、アレですね、『ジェダイの復讐』でね、ルークが「お父さんはそんなヒトじゃない」っつった時に、ああこりゃダメだ〜と(笑)。だから、父と子の相克って言ったら、やっぱボクらの年代だと『巨人の星』みたいな感じになるじゃないですか、それ女の子にした場合にはそういう関係にはならなくなっちゃうんですよね。で、ボクは対立のドラマというのはあまり書かないし、また、対立の観念が多分欠けているんだと思います。だって監督と対立したコトってないですもん。一回だけです。最初に門之園さんがキャラデザイン描かれたのを見て、これロリコン入ってないじゃないですかっつった時だけです。その時監督が、もうロリはいいよって言ったんです。
      『TOMCAT』
      まあ、平野監督って一般的にはロリで売ってるってイメージありますからね、とにかくコケティッシュでロリータなキャラを可愛く描くって....
      『早見裕司』
      で、それはいいよって言われた時、あ、そうなんだなと思って....。
      『TOMCAT』
      まあ、物語を語る際に、愛玩物としての少女では、対象になってしまうってコトですね、主体ではない。
      『早見裕司』
      それだと、14歳にした意味がない....まあ、最近14歳っつってもなぁ....。
      『TOMCAT』
      最近エンクミ(遠藤久美子)とかいってるしぃ〜、あ、あんなトコにビデオあるしぃ〜(笑)
      『早見裕司』
      だから、そもそも対立の概念がなくて、また古い日本というか、アレで行くと、近代的自我の確立と言うドラマではなくなって行くはずなんで....
      『TOMCAT』
      近代的自我の確立と言うと、夏目漱石とかそういう、あっち系ですか?
      『早見裕司』
      ....まあ、森鴎外とか、なんでしょうけども、だから明治の時にあったコトは確かですが....。
      『TOMCAT』
      近代的自我は多分確立された物じゃなくて教育された物ですよね、今ある近代的自我っていうのは....。
      『早見裕司』
      はい、あの、西欧的な物ですね。
      『TOMCAT』
      そうですね、西欧的な個人主義、近代的自我ってそれですね。だから日本には近代的自我なんてなくてですね、とりあえず、近代になっちゃったんだから近代的自我を持たなきゃなんないんじゃないの、ってトコで知識人が足掻いてる、それが明治の或る種のエートスだってコトになってますよね、ただやっぱり、一般庶民、下凡の衆ってホントにそんなコト考えてたかってぇとそんなコト考えてないですよね。なんとなく、黒船来ちゃったしよぉ、なんか、ちょんまげしちゃいけねえんだってよぉ、ってな感じで、なんとなく来ちゃってる....

      (かくて夜は更け、話は留まる処を知らず)

      TV『吸血姫美夕大昔語り』一巻の終わり

      1998年・早見慎司邸にて

      談:早見裕司(当時)
      インタビュー・ベタ起こし:TOMCAT
      協力:shof・嶋崎とんかち
       

      吸血姫美夕 | permalink | comments(0) | -

      TV「吸血姫美夕」大昔語り・15

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        (鳥の眷属について)
        『早見裕司』
        鳥神魔はですね、これは、とにかく、狙ってる一族がいるっていうコトは、最初に監督は言われたんです、それを鳥にしたのは私です。マンガの美夕は鳥が好きなんで、垣之内さんには悪いなぁと思ったんですけど、思い付いちゃったんですよ。
        というのは、田園に死すも陽炎座も原田芳雄が出てきますね、同じような感じの役どころで。あれはまあ、謂ってみれば間男ですけども。あれが着てる物っていうのは、あれ二重廻し....。
        『TOMCAT』
        合いトンビですね。
        『早見裕司』
        トンビですね、じゃ神魔トンビって名前にしようっていった時点で鳥にしちゃったんです。
        『TOMCAT』
        ああそうなんですか、じゃあ、要するにトンビを着ているからトンビだと。

        『早見裕司』
        ただ鳥にしてみると、お母さん鳥追いの感じになるんで、感じいいですよね。だから、ずっと作業が盛り上がって来ると、感覚でやってることが段々ハマってくるんですよ。これは理詰めで考えるよりも、感覚を信じた方がいいらしいです。ホントはボクは理詰めで考えたいんですけれども、理屈をねぇ、思い付かないんです。小中さんなんてのは完全に理のヒトなので、総てのコトが完全に説明できますね。というか、脚本家というのはそうでないと、脚本を通すのが難しいんです。というのは、普通の場合は、大勢のヒトが集まった中でプレゼンテーションしなきゃいけないからです。美夕は私と監督でしか打ち合わせしてないんです。
        誰も口挟んでないです。なんで、やれたってのがあって。
        『TOMCAT』
        やっぱり、じゃあ、台本会議なんかの、経験ってコトですか?
        『早見裕司』
        小中さんが?....だと思いますね。
        『TOMCAT』
        やはりプレゼン能力ですからね。
        『早見裕司』
        だから、脚本家の方ってのは、非常にプレゼンテーション上手いですね。その点では、美夕は非常に、誰にも説明しないで済んだんで....。
        『TOMCAT』
        ....非常に早見さん向きだったというコトですね....
        『早見裕司』
        ....えーっと、『母親との関係がメインで描かれているが、その真意は?』えーっと、それは、前にいいましたけど、私に父親トラウマがないせいです。
        『TOMCAT』
        ああ、なるほどね、母親トラウマはあるんですか?
        『早見裕司』
        いや、ないです、だって娘じゃないもん。
        『TOMCAT』
        つまり、家族的な欠落がないから....
        『早見裕司』
        う〜〜〜ん、まあ欠落っていうか、まあ、もう反抗期過ぎちゃったんで....で、最終的には美夕は美夕昔語りのアレになるコトがわかってたんで、そうするとやっぱり、近代的自我の芽生えじゃないんですよね。アニメージュには、「喪われた日本の原風景が描かれている」とか書いてあって、喪われたって、あんなモンあったんかいだと思うんですけど....。
        『TOMCAT』
        ま、仮想的なってコトでしょうね。
        『早見裕司』
        女の子像で、ボクはもうつみきみほ原理主義者なんで、或いはスケバン刑事なんで、そういう男のドラマってのがあって、あるんでしょうけど、今回はその、母親と娘のドラマの方が書きやすかったんでしょうね。あと、冷羽との対比で考えてもやっぱりそうなりますね。
        『TOMCAT』
        冷羽は父親だと?
        『早見裕司』
        はい、だから美夕ってのは戦闘的なキャラクターでもないんですよね。
        『TOMCAT』
        その辺一くさりちょっと語って戴けますか。

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