宣伝4(水淵季里シリーズ)
長編で出ている絶版本で、私の代表作とされているのが、水淵季里シリーズで、全6冊、3セクションあります。
第一セクションは、1988年、デビュー作として書いた、「夏街道」と、90年の続編「水路の夢」、第二セクションは、ずっと飛んで01年の「夏の鬼 その他の鬼」と、04年の続編「精霊海流」、そして、第三セクションは08年の「ずっと、そこにいるよ。」と、15年ぐらいに(すみません、正確な記憶がありません……)マンガ図書館Zでオンデマンド出版した「何もない、夏の一日。」。この六作です。
「夏街道」は、何しろ私、小説の書き方を知らないもんですから、初稿などはむちゃくちゃで、ヒロインがふたりいたり、これは担当のFさんが体を張って止めたのですが、後半(Side-B)を完全に書き換えるとか……いろんなことがありました。
そもそもこのシリーズは、邪霊と超能力者集団が闘うアクション小説の予定で、言ってしまうと「V・マドンナ大戦争」のつもりだったのですが、そのアクションがあまりにもひどい、と見たFさんが、後半の素案を提示して下さったのですね。世に出て、評判はみごとに二分しました。素人から毛を三本抜いたような作者だったので、まあ、無理もないと思います。
ただ、「センチメンタル・ホラー」(と、自分で名乗っています)としては、拙いながらもやりたいことをやり切った、というのが正直なところです。。実力よりは、よくできている、と言いましょうか。特に、センチメンタルが。
そういえば、当時、熱烈なファンレターも、いただきました。それは全部、イラストの川原由美子さんに惹かれて買ったら、意外に面白かった――というような内容でしたが、これは私の戦略でもあったので、うれしい限りでした。いまもライトノベルはイラストですねえ……。
で、続きの「水路の夢」は……と書こうとしたところで、これについて書くと、寝られないぞ、と気がつきましたので、きょうのところはこの辺で。「夏街道」、稚いですが、私には傷ましい夏の血漿です。
その後の「水路の夢」は、間に2冊、本をはさんだので、出来としてはやや向上したつもりですが、いまでも「夏街道」が好きだ、と言って下さる方がいらして、とてもうれしく、ちょっと物狂おしくなります。