うらそえ日記

奇談小説家・早見慎司(早見裕司)の公式ブログです。
<< April 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< TV「吸血姫美夕」大昔語り・5 | main | ほんと、裁判でも起こしたいですわ。(まじめにとらないように¥) >>

TV「美夕大昔語り」・6

0

    (『神魔の旗』について)
    『早見』あれ、アクション編なんで、私書けないんですよ。それは最初っから監督には言っていて、アクションは書けませんから、と。ちょっとどころじゃなく苦手ですよ。
    ……脚本の時点で失敗してる回が3回あって、他は失敗してないと思ってる辺りが随分傲慢ですけど。えーと、一回は、ヒトのなんであまり言えないんですが『葦の鳴く庭』で、あれは総ての問題が噴出した回なんですけど。これはいろいろあって、最終的に、ジョン・コリアの『みどりの想い』(代表的な短編ホラー小説)にせざるを得なくなったんですが、花が猫の目になっている、っていうのが猟奇だ、と言われてしまって。島津冴子さんは、実にいいんですけどね。
    後は『美夕の亡霊』。これは、あの、作画面も大変問題があったんですけど、それ以前に脚本として失敗してたのは、自分が美夕だと思ってる神魔が出てきて、最後まで自分が美夕だと思い込んでて、じゃあ美夕は自分を美夕だと思い込んでるけど、ホントは美夕じゃないんじゃないかっていう、アイデンティティーの揺らぎをやろうと思ったら、監督が、いや、美夕はアイデンティティーは揺らがない、あと、ラヴァは見分けは絶対につくと。言われちゃって困ってね、どうしたらいいかわかんなくなっちゃったんで、これ、失敗したんです。
    後一本、『神魔の旗』が失敗したのは、こら簡単なコトで……。
    『TOMCAT』……電柱ですか?(笑)
    『早見』あの電柱はなあ。背景を海外に出したときに、資料として渡した写真集の年代が新しくて、電柱が立っているのを、直し入れないで出しちゃったんですって。
    あと、神魔の旗ってのは、守護神魔ってのは、後に旅芸人として出て来るから、そういう異人たちなのに、血筋が、って話にしちゃったじゃないですか。やけに封建社会になっちゃったんですよね、だからあれ、構造上間違ってますよね。これはもう、何も考えてなくて、とにかくもう、棺桶引き摺って来るんだとか、腕がガトリングガンになってるんだとか、アタマの中では『飛べ!必殺うらごろし』とか『荒野の素浪人』とか、そういうコトを考えてたんで……フィジカルなものがないと、書けないんですよ。僕は。
    『TOMCAT』だからあの、神魔の出鱈目さっつのもいいですよね、「あれ、神魔じゃないじゃん」とか思ったですよね、「腕、ガトリングガンって何?」とか思ったですよ。
    『早見』あれは完全に、「この世界は書き割りだ」って松風が言ってますけど、書き割り感を出したかったんです。そこだけ妙に時代劇な空間ってのをね。それが出なかったのは、オレのせいじゃないです(笑)。その、村長の家が守護神魔の末裔だっていうのにしちゃったのは、私が悪いんですけども、あそこが全然異空間に見えないのは、そら絵が悪いですよ。一番は美術の問題だったんですけどね。佐々木さん(佐々木敏子さん。作画監督。TVでは重用された)が悪いとか、そういう問題じゃなかったんですよねえ、あれ……。
    『TOMCAT』とりあえず、ちょっと力が足りなかったのかな、ってとこで納めましょう。
    『早見』はい、納めましょう。このところへ来るまで、守護神魔って話を監督はしてなかったんです。或いは監督の中で段々次第に醸成されて来たモノかも知れないんですけども。で、『神魔の旗』の時点では、まだ各話バラけた話でやる筈だったんですが、その守護神魔をここで出そうと。

    もう一つは、冷羽の父親コンプレックスですね、それも入れようと。そうすると各話の脚本の方に書けないんです。設定話になっちゃうんで、そこのところでの、ちょっと混乱はありました。あと、表現上の問題もありました。あれ、『うらごろし』だから、中村敦夫で、ジャンプして串刺しにするんだけど、絵で描けないじゃないですか。あの、ラヴァが突き刺すのもダメだっていうコトだったんで(ビデオでは直った)。あの、ボクは『うらごろし』の一話を監督に見せて、「これでどうでしょう?」っていうのでやりましたから。この守護神魔の話が出てきたのは、そのくらいまで進んでからですね。
    『TOMCAT』オレはあの雰囲気、まあ、村人たちのシークェンスってのは確かに時代劇感は出てなかったですけど、神魔の兄弟が出てきたところのザラついた感じとか、日本なのになんとなく西部っぽい雰囲気とか、あれはやっぱり白土三平的なところがあって……。
    『早見』白土三平というか、一時期日本の時代劇のTV番組が、大変マカロニウェスタンに近付いたところはありますわね。大体『ライオン丸』や、『必殺』の音楽なんかもそうですしね。『子連れ狼』でも結構そうなのかなって気がしちゃいますけど、そういう感じを出そうとして、で、そのために切り通し(短いトンネル)を通るという装置をつくったワケですわ。あれは『ツィゴイネルワイゼン』の切り通しですね。
    それで、ラストも、切り通しから出てみると、その向こうには現代の町並みがダーッと浮かび上がるって書いたら、出てないんだ、これが。あれ、別世界であるコトがわかんないと、ティピカルな時代劇の村長の家があって、ってのが、全然出ないんですよね。それは非常に残念なコトではありました。
    『TOMCAT』まあ、基本的にアクションが苦手って言われるけど、あのアクションがおかしいのはですね、真面目くさってですね、やってんだけど、「あれ、ダーティペアじゃねーか?」って話があっってですね、だってですね、冷静に考えてみればですね、美夕と冷羽が共闘してダブル必殺技〜っつったら、パカパカパカーと跳ね飛ばされて火は飛ぶは何は飛ぶはで一家村焼亡っつーのはですね、ハッキリ言ってギャグでしょう?
    『早見』それをギャグにしちゃうのは、しかたない問題だと思います。つまりですね、TVの美夕で、様々な問題があると思うんです。たとえば力の描写ですね。『海の光』の時に、美夕と冷羽が激突しますわな、あれで衝撃波で、あそこの村が軒並み吹っ飛ぶっていう風に書いたんですけど、まったくやられなかったですね。あと、『宿命』、ナイトヘッドになってる回でも、あそこ、工事現場、どーんと超能力で破壊される筈だったんですけど、それもやられてないですね。
    『TOMCAT』確かにその、現実にあるものが、美夕たちの力によって何か蒙るという風な威力表現の描写ってのは、一切なかったですね。
    『早見』美夕は平野監督、今回特に実写指向でやってますから、当然そういう物理的リアクションってのは、やりたくてしょうがない筈なんですよ。『宿命』でも、ぶつぶつ言ってましたが。それができなかったのは、まあ、種々の制約によるモンだと思います。
    『TOMCAT』だから、そういう物理的なリアクションを描かないと、或る種、精神波的なモノの、単なる火とか氷と言うのは、表象に過ぎないんではないかっていう風に。だからたとえば超能力モノなんかの、ドーンとやったら、なんかワケの判らないエフェクトがミョーンと行って、う〜〜〜っつって、ウケの芝居があって、っていう、ああいうつまらなさに通じるものがありますよね。
    『早見』そうですね、だから、どっちかと言えば『帝都大戦』ですよね。
    『TOMCAT』あれはもう、延々、あーうーあーげーっていう話だから……(笑)
    『早見』あれは私は、合成好きだから、合成でない超能力描写で、香港アクション、どうかなと思ったんですけど、物理的力の作用がなければ、それはあまりにアニメ的過ぎる。
    『TOMCAT』そうですね、なんかバーンとか言って光がビャーンとか飛んで、なんか、アーッとかいう感じですよね。
    『早見』そこはもっと、具象的なモノを目指してはいたんですね。

    吸血姫美夕 | permalink | comments(0) | -

    この記事に対するコメント

    コメントする