うらそえ日記

奇談小説家・早見慎司(早見裕司)の公式ブログです。
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TV「吸血姫美夕」大昔語り・13(終わり)

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    (鳥の眷属について)
    『早見』鳥神魔はですね、これは、とにかく、美夕を狙ってる一族がいるっていうコトは、事前に監督は言われたんです、それを鳥にしたのは私です。漫画の美夕は鳥が好きなんで、垣之内さんには悪いなぁと思ったんですけど、思い付いちゃったんですよ。というのは、『田園に死す』も『陽炎座』も原田芳雄が出てきますね、同じような役どころで。まあ、謂ってみれば間男ですけども。あれが着てる物っていうのは、あれ二重廻し……
    『TOMCAT』合いトンビですね。
    『早見』トンビですね、じゃ神魔トンビって名前にしようっていった時点で鳥にしちゃったんです。
    『TOMCAT』ああそうなんですか、じゃあ、要するにトンビを着ているからトンビだと。
    『早見』ただ鳥にしてみると、お母さん鳥追いの感じになるんで、いいですよね。だから、ずっと作業が盛り上がって来ると、感覚でやってることが段々ハマってくるんですよ。これは理詰めで考えるよりも、感覚を信じた方がいいらしいです。
     ホントはボクは理詰めで考えたいんですけれども、理屈をねぇ、思い付かないんです。小中さんなんてのは完全に理のヒトなので、総てのコトが完全に説明できますね。というか、脚本家というのはそうでないと、脚本を通すのが難しいんです。というのは、普通の場合は、大勢のヒトが集まった中でプレゼンテーションしなきゃいけないからです。美夕は私と監督でしか打ち合わせしてないんです。誰も口挟んでないです。なんで、やれたってのがあって。
    『TOMCAT』やっぱり、じゃあ、台本会議なんかの、経験ってコトですか?
    『早見』小中さんが?……だと思いますね。
    『TOMCAT』やはりプレゼン能力ですからね。
    『早見』だから、脚本家の方ってのは、非常にプレゼンテーション上手いですね。その点
    では、美夕は非常に、誰にも説明しないで済んだんで……。
    『TOMCAT』……非常に早見さん向きだったというコトですね……。
    『早見』えーっと、『母親との関係がメインで描かれているが、その真意は?』それは、前にいいましたけど、私に父親トラウマがないせいです。小中さんもないんじゃないかな、両親を尊敬していらっしゃるから。父親コンプレックスがあるとねえ……話が歪みますね。
    『TOMCAT』ああ、なるほどね。母親トラウマはあるんですか?
    『早見』いや、ないです、だって娘じゃないもん。
    『TOMCAT』つまり、家族的な欠落がないから……。
    『早見』う〜〜〜ん、まあ欠落っていうか、もう反抗期過ぎちゃったんで……で、最終的な話は『美夕昔語り』のアレになるコトがわかってたんで、そうするとやっぱり、近代的自我の芽生えじゃないですね?『アニメージュ』には「喪われた日本の原風景が描かれている」とか書いてあって、喪われたって、どこにあんなモンあったんかい、と思うんですけど……。
    『TOMCAT』ま、仮想的なってコトでしょうね。
    『早見』女の子像で、ボクはもうつみきみほ原理主義者なんで、或いはスケバン刑事なんで、そういう男のドラマってのがあって、あるんでしょうけど、今回はその、母親と娘のドラマの方が書きやすかったんでしょうね。あと、冷羽との対比で考えてもやっぱりそうなりますね。

    『TOMCAT』冷羽は父親だと?
    『早見』はい、だから美夕ってのは戦闘的なキャラクターでもないんですよね。
    『TOMCAT』その辺一くさりちょっと語って戴けますか。
    『早見』う〜んと、ビデオでは美夕は非常にコケティッシュな……っていうんですか?
    『TOMCAT』そうですね、小悪魔的な感じですね。だからその辺は違うでしょう、寡黙で、っていう……
    『早見』一つは、私が書くと大体ああなっちゃうっていうのはあるんですが……
    『TOMCAT』要するにやっぱスケバンラインですよね。
    『早見』ただその時にね、父との対立っていうのは、あんまり思い浮かばないんです。スケバン刑事だってガラスの仮面だって、父親、関係ないでしょう?
    『TOMCAT』見てないんですぅ(笑)
    『早見』で、父と子の確執ってのは、ボクあんっまり好きじゃないんですよ。
    『TOMCAT』こないだ言ってた父性の問題ですかね?
    『早見』う〜ん、アレですね、『ジェダイの復讐』でね、ルークが「お父さんはそんなヒトじゃない」っつった時に、ああこりゃダメだ〜と(笑)。だから、父と子の相克って言ったら、やっぱボクらの年代だと『巨人の星』みたいな感じになるじゃないですか、それ女の子にした場合にはそういう関係にはならなくなっちゃうんですよね。で、ボクは対立のドラマというのはあまり書かないし、また、対立の観念が多分欠けているんだと思います。だって監督と対立したコトってないですもん。一回だけです。最初に門之園さんがキャラデザイン描かれたのを見て、これロリコン入ってないじゃないですかっつった時だけです。その時監督が、もうロリはいいよって言ったんです。
    『TOMCAT』まあ、平野監督って一般的にはロリで売ってるってイメージありますからね、とにかくコケティッシュでロリータなキャラを可愛く描くって……
    『早見』で、それはいいよって言われた時、あ、そうなんだなと思って……もう一つは、やっぱり、愛玩物としての少女だとつまんないですよね……。
    『TOMCAT』いやまあ、物語を語る際に、愛玩物としての少女では、対象になってしまうってコトですね、主体ではない。
    『早見』それだと、14歳にした意味がない……まあ、最近14歳っつってもなぁ……。
    『TOMCAT』最近エンクミ(遠藤久美子)とかいってるしぃ〜、あ、あんなトコに(遠藤久美子の)ビデオあるしぃ〜(笑)(注:壁に遠藤久美子のカレンダーもあった)
    『早見』だから、そもそも対立の概念がなくて、また古い日本というか、アレで行くと、近代的自我の確立と言うドラマではなくなって行くはずなんで……。
    『TOMCAT』近代的自我の確立と言うと、夏目漱石とかそういう、あっち系ですか?
    『早見』……まあ、森鴎外とか、なんでしょうけど、明治の時にあったコトは確かですが……
    『TOMCAT』近代的自我は多分確立された物じゃなくて教育された物ですよね、今ある近代的自我っていうのは……
    『早見』はい、あの、西欧的な物ですね。
    『TOMCAT』そうですね、西欧的な個人主義、近代的自我ってそれですね。だから日本には近代的自我なんてなくてですね、とりあえず、近代になっちゃったんだから近代的自我を持たなきゃなんないんじゃないの、ってトコで知識人が足掻いてる、それが明治の或る種のエートスだってコトになってますよね、ただやっぱり、一般庶民、下凡の衆ってホントにそんなコト考えてたかってぇとそんなコト考えてないですよね。なんとなく、黒船来ちゃったしよぉ、なんか、ちょんまげしちゃいけねえんだってよぉ、ってな感じで、なんとなく来ちゃってる……
    (時間は矢のように過ぎゆき、話はとどまる所を知らないが、この辺で……)

    美夕大昔語り ・ 了

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