うらそえ日記

奇談小説家・早見慎司(早見裕司)の公式ブログです。
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TV「吸血姫美夕」大昔語り・11

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    (『うつぼ舟』)
    『TOMCAT』だから、あの男にはとにかく、みんながなんかあの、あれはだから要するに世界に愛される人ですよね、あのヒトって、周りのヒトは大体みんなあの男を愛してるワケですよね。
    『早見』いや、それが私、わかんないんです。
    『TOMCAT』なんであの男は愛されるんでしょう。
    『早見』私もね、それが疑問でしょうがないです、みんなねぇ、「うつぼ舟」いいっていうでしょ? 私別に全然好くないんですもん、好くないというと違うんですけど。
    『TOMCAT』あれはだから、ドラマとして好いんですよ。あれはだから、ありがちな話なんですけど、三石さんの芝居も好かったし、ドラマとして非常に……ええ。
    『早見』あと、田中秀幸さん、あのヒトはすっごいいい方なんですけども……。
    『TOMCAT』田中秀幸さんと三石琴乃さんだからああいう逃避行の話がね、で、しかもあのひなびた電車で、朧雪が舞っておってみたいな。
    『早見』ただ、あれがどういう構造の話なのかは、監督にしか説明してなくて、ほかは誰も知らないんです。演じるヒトも演出したヒトも、判ってないんですよね。
    『TOMCAT』あれはとにかく、早見さん所謂ところの、ポップを目指そうと、
    『早見』ていうか、ポップにしなきゃダメだって謂うコトだったんですけども、あんまりそうなっていませんね。
    『TOMCAT』うつぼ舟はとにかく、ドラマとして成功したんだと思いますね。だから、言われるように、土曜ワイド劇場なんですが、土曜ワイド劇場がつまらないってワケじゃないワケであって、非常にアリガチな話なんですけど、繰り返し語るっていう素型があるわけですよね、
     世間に疎んじられた男がですね、世の中の片隅で小さな幸せを、みたいなアリガチな話あるじゃありませんか、ああいう話ってのはどこんでもあるワケです、でも、どこんでもあるからもう語るなっていうのと違うワケで、同じ話は何回でも語れるワケですね、語り口と演者ですよね、それはドラマってモノはみんなそうですよね。なんか憧れの彼とすったもんだあったウチに、くっついて、万々歳、涙涙、っていうのが大概の恋愛ドラマのパターンですよね。
     だから、意匠だと思うんですよ、意匠と演者、だからアニメのところで、物語を重視したところで、あれが非常に今までの美夕的なノリで言えば、間違ってはいないワケでしょう?で、早見さんはそこで、まあポップと表現されたようなところでやらなきゃダメだろうと思ったんだけど、今までのドラマ的なところで流しちゃった結果、非常になんか、演者もあれば、話も要するに一本道ですから、要するに、奥さん死んだんだかどうだかわかんないけど、奥さん突き飛ばして逃避行っていう、心中モノですよね、心中モノってとにかくねぇ、上手くやれば盛り上がるんですよ。
    『早見』いやあれねぇ、あの、その筋の方からも褒められて……まあ、小中(千昭)さんですけどね(笑)。で、なんだ、オレってそう言う、演歌の花道な奴だったのかなと思って
    ……(木亥火暴!!)
    『TOMCAT』あなた、演歌の花道なヒトですよ(笑)
    『早見』そーゆーのやなんですよぉ(笑)
    『TOMCAT』だから、自分の内なる東北人に向き合わなきゃ。
    『早見』だからねぇ、私はね、都会派だと思ってるんですよ(笑)。だから、それはねぇ、意識しちゃうとダメなんですよ。それで倉本聡北海道行っちゃったじゃないですか、あのヒト都会書くとホントに上手かったのに。それで北の国からでUFO出してるでしょう?だからオレ、今後そっち進まなきゃいけないのかと思ったんですけども。
     だからあの話自体が決まってたところにその時点で、冷羽と父親の関係が出てきたんで、それが一致するようになったんです。だからあの、まあ、自分で認めたくないんですけど、冷羽が来たの回と矛盾してますよね、その時点ではだってわかんないんですもん、冷羽の出自が。
    『TOMCAT』だからあれ、父親ってテーゼはあそこで出てるんだよね、もう、出てるけれども、とりあえずやっちゃえーって奴が冷羽なんだよっていうふうな売り方してるワケでしょう。だから、何故あそこであの、父親というには歳が近すぎるし。で、あの男は何故みんなが愛するのか、登場人物みんな愛してますよね。だから奥さんだって、遣り方はどうあれ、あの男が必要なワケですよ、みんながあの男を欲しがっているワケですよね、玉の取り合いですよね。で、結局、男の方はなんだか煮え切らない態度で、今のちっちゃい幸せがいいんだよってところで、非常にダメな奴ですよね、
     ダメな奴が北に逃げるってのはねぇ、日本人の感性に訴えるんですよ。電車に乗って、雪が降ってて、海岸で、って謂うと日本人泣いちゃうワケですよ。そこがあんまりちょっと、意図と違ったのかも知れないけれども、ドラマとしては間違ってないと思うんですよ。だからあそこで、うつぼ舟って何だったんだって話が出て来るワケで、今度は。渡海伝説と寄り来る物じゃ違うじゃねえかって話まで出て来るワケであって。赤ん坊に退行するって筋道はわかるんですが、だからドラマと噛み合ってないってだけの話であってね。
    『早見』いや、あれはね、ラストだけ決まってたんですよ。
    『TOMCAT』あの盥に乗って、ツィゴイネルワイゼンだよんって話が?
    『早見』はい。で、こういうラストにしましょうって監督に言ったら、じゃあおまえ書け、他のヒトに書けねえだろう。あのですね、シリーズ構成の場合は、ラストシーンを決め込むコトはできないんです。それは各話脚本の方の領分であって、決めちゃうのは失礼に当たるんです。えーっとですね、あなたの家、マンションの話、あれは最後の美夕の一言を思い付いた時点で、じゃあこれで〆めないといけないから、ヒトに振れないっていうんで、ホントは書く気なかったんですけど、書いたら、また褒められて……。
    『TOMCAT』ああ、褒めた人間としては責任を感じますね。

    *一本目終わり
     

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