うらそえ日記

奇談小説家・早見慎司(早見裕司)の公式ブログです。
<< July 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< TV「吸血姫美夕」大昔語り・2 | main | TV「吸血姫美夕大昔語り」・4 >>

TV「吸血姫美夕」大昔語り・3

0

    『TOMCAT』(OVAでは)かなり計画的に全4巻が出たワケですよね。素人目で考えて、一巻当たったから二巻も出しましょうと言う作り方ではなかったですね。4巻であの通りの世界観で完結するんだと言う作り方で、非常に恵まれていた作品であった、と。そういう意味でTVアニメで深夜枠でってコトで考えて、それで26回でってコトを考えると、クォリティー面で比較したって意味はないですよね。
    『早見』そうですねぇ……あと、深夜枠で、ビデオ売る事込みでっていうコトでお金が出るって状態でもなかったんです。まあ、勿論ビデオ化する予定ではあったんですけども、予算はそんなになかったです。ただまったくなんにもしないワケにいかないんで、声優さんは非常に豪華ですよね、あれはあの、音響監督の本田(保則)さんの力もあるみたいですけど、平野監督の人徳だと思いますよ。監督、嘘つかない人ですし。CDドラマで西洋神魔編ってのを6巻やりましたけども、その時に関わった方がかなり出てらっしゃいますしね。
    美夕は声優さんには非常に評判良かったです。(アフレコに)絵が入らないんで苦労されたんですけど、かなり面白がって下さって、で、この前、幻の二話のアフレコがあって、行って来たんですけども、長沢美樹さんとか、かないみかさんとかが、続きつくりましょうよって監督に言ってたんですね。あんまり偉そうなコトは言えないですけど、ああいうドラマってのは、今あんまりないですよね。
    『TOMCAT』確かにないですね、アニメにはアニメの作り方があって、って形ですね。
    『早見』……なので、かなり難しい処もあるけれどもそれだけに面白がってやって下さってたんで。声優さんの話すると長くなってしまうんですけど。
    『TOMCAT』では、平野監督の印象を。
    『早見』平野監督は、物凄く真面目なヒトです!冗談を言ったコトが、一年半で一回しかないです。美夕をゲーム化すると言う話がちょっと出た時に「美少女ゲーにしよう、美夕と付き合って、最後血ぃ吸われて終わる」と。冗談、それだけでした。
    だから『冷羽が来た』の回で、あそこに、山の中の女がいて、巡礼の父親とちょっとアレな感じになりますよね。最初私『倒れ込む』ってのを書いたんですよ。そしたらあの、クレームが来て。今非常に厳しいんですよね。「その程度のモン、なんで出来ないんだ」とか監督が言ってるんで、僕が、「じゃあここで、波がザパーンって碎けるってやりましょうか?」と、場を和ませようと思って言ったら、監督が「おまえ、山の中でどうやって波が出るんだ」と、真面目にリアクションされて困ったんですけども。
    (往年のハリウッド映画では、ラブシーンをそのまま描けないので、海で波しぶきが打ち寄せる、などの暗喩が用いられた。)
    『TOMCAT』残酷の描写についても?
    『早見』ガーっと申し送りのFAXが来るんですよ。「美夕が中学生と言う設定になっているが、昨今の事情等もあり……」丁度神戸(酒鬼薔薇事件)の事件の時ですね。「高校生にして欲しい」。じゃ、高校生ならいいのかっていう……。
    『TOMCAT』「血糊、血飛沫の表現については、他の色で代用するのではなく、透過光表現にして欲しい」
    『早見』それで透過光にして、やったら、そこへポケモンが来て(TVの「ポケモン」で画面の点滅が激しくて、発作を起こす子どもがいたため、それ以降、「テレビは部屋を明るくして離れて見て下さい」と注意が出るようになった)、透過光も、TVのOAでは納品前にビデオ編集で、かなり透過光を切ったり輝度を落としたりしてます。
    だから、美夕の場合は深夜でもあるので、生々しい感じを出そうと思ったんです。ただ、それの縛りがもう、きつくてですね、ちょっと上品(に)なっちゃいましたね。あれ、おかしいと思う人は絶対おかしいと思うでしょうけど、胴体絞められて苦しんでるでしょ?首絞めちゃダメだっていうんですよ。菜っ切り包丁で人、刺したり。やりたくてやるわけないですよ。
    放映当時、事故で(早見曰く、秘密という約束を製作サイドとしたので具体的には言えないとのこと)画質が荒れて、某掲示板で「ビデオにして売る気でやってるのか。消費者をなめるな!」みたいなことが書いてあって、僕はキレる寸前で、かろうじて踏みとどまりましたが、いまなら反論しに行きますね。TVをやってるスタッフは、TVが全てなんですよ。「誰も本放送で、不細工な絵が見せたいわけがない! TVで作るものは、本放映が最上にしたいと決まってる」、って、顔合わせると言ってました。僕は自分を「消費者」と呼ぶ人の心根に、よりキレそうになりましたね。今は平気で言うけど、視聴者の誇りも捨てるのかと。
    あと首を連想させるモノは一切ダメ。あの当時は、サスペンスモノでも、それでかなり中止になった奴があって、甚くは、美容院のセットでよくかつら載せとく台あるでしょう、あれが首に見えるからダメってのあったんです。それくらい過敏な反応があったんですね。
    『TOMCAT』……これ、(事情を公開する上で)使えないワケですね?
    『早見』いや、これはいいでしょう。多分監督だったら、それは、言うべきコトは言った方がいいって言うと思います、これに関しては。
    本当にまずいかも知れない話で、もう時効かな、と思うのは、音響の話とかね。あれ(名前を秘する「美夕」以外の作品)とかねぇ、音響監督の頭越しで監督が指示出してるみたいですね。平野監督は、絶対それはやりません。いちいち音響監督を通すと。そうでないと、みんなが勝手に意見言っちゃうと、ごちゃごちゃ。
    私もアフレコ行って、「おまえ何も言うなよ」と言われてたんですけども、それは判ります。二時間とか三時間とかで上げなきゃいけない時に、解釈がどうかって話になると、音響監督一系統でやってないと、大変なんですよ。で、ちょっとまぁどうしようかって時に、監督は或る程度のコトは言いますけど。またそういうので混乱してる時に限ってですね、(スタッフの一員が)自分の解釈を述べ始めたりすると混乱がすごいんで。そういう回もあったんですよ。「〜じゃないかなあ」とか、ミキサールームの後ろの方で、とぼけたことを言ってしたり顔しててね。

     

    吸血姫美夕 | permalink | comments(0) | -

    この記事に対するコメント

    コメントする