うらそえ日記

奇談小説家・早見慎司(早見裕司)の公式ブログです。
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冷羽〜風の中で〜

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     TV「吸血姫美夕」のドラマCD「吸血姫美夕 ドラマ・スペシャルII」に収めた、「冷羽〜風の中で〜」は、冷羽の幼い頃の回想譚です。

     このドラマについては、すでに触れていますが、李礼仙のひとり芝居(書いたのが、知る人ぞ知る、楠美津香)にヒントを得て、冷羽の過去をじっくりと、ひとり芝居に近いタッチで描いたものですが、キャストもスタッフも、カップリングの「思い出の瞳」(死無と美夕との出逢い)も含めて、多いに乗っていただきました。

     で、「冷羽」は、脚本と、実際の台詞で、2ヵ所違う所があります。すすきの原を歩いているときの、冷羽の母(水谷優子さん……)の「すすきの葉が目に入るかも知れない」が、脚本では、「入るか知れやしない」だったのと、同じくドラマで冷羽が、「ハッと胸を突かれるような」が、脚本では、「ハッと、と胸を突かれるような」になっている所です。

     いずれも、どちらも正しい日本語ですが、脚本の意図としては、古い時代の話なので、古めかしい言い回しにしたのでした。

     それを直された本田保則音響監督は、もちろん分かっていて、やったことに違いないのです。ごく普通のお客さんに、「と、と胸を」とか、「入るか知れやしない」、いまで言うと確かに「入るかも知れやしない」などという言い回しがあることと、それを使うと聴きづらくなる、ということは、仕事で鍛えた本田監督が、分からないはずがありません。それに、「美夕昔語り」では、「六道」や「無間地獄」などを、正しいふりがなに直していただいておりますし、信頼すべき方です。

     悪く言えば、自分のちっぽけなこだわりを通そうとして、作品のポピュラリティを崩すことになるのは、誰も幸せになれません。

     いま、ドラマCDを聴いていますが、冷羽は「そんなことが、何度かあった……かも知れません」と言っていて、この「……」の入るタイミングは、ずいぶん昔からやっていたなあ……と思います。

     「冷羽」と言えば、フクロウの神魔に扮された、大ベテラン、沢りつおさんが、早くスタジオ入りしておられ、ロビーで休憩しながら、「僕はね、フクロウには縁があるんだよ。仮面ライダーのフクロウ男をやったからね」と言っていらして、私は緊張でがちがちだったもので、うまくお話ができなかったのですが、テアトル・エコーのお話など、伺いたいことはたくさんあったので、機を逃して、もったいないことをしました。沢さん、申しわけありませんでした。

     

     

     

     

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