【宣伝】(マンガ図書館Z、Kindle本)「夏の悲歌」
水淵季里のシリーズではありませんが、「日本幻想作家事典」(国書刊行会)では、その流れの中にある、ということと、イラストが使えるので、公開しているのが、「夏の悲歌」です。
これは、大仕事でしたね。最初に、300枚の原稿があって、それを「出したい!」と言って下さる編集者がいらしたので託したんですが、数日後に電話があって、「すみません、450枚でした……」と。つまり、300枚の原稿を150枚伸ばしたわけでして、これがどれだけ大変かは、300枚を450枚に延ばした経験のある人でないと、分からないかもしれません。
ただ、担当者が非常に熱心で、さばけた方だったので、やりとりもさかんでしたし、アイディアも出して下さって、なんとかがんばれた、というところです。
イラストも、いい方を選んで下さったので、私から注文を出して、このシーンは夕方なので、夕焼けがちょっと緑色になります、とか、そんな指定をお願いしたりしていました。
私個人としても、初めての盆地の夏、というので、盆地で育った&住んでいる方にお話をうかがったり、書いているうちにアイディアが出て来て、それほどきついとは……いや、やっぱり思ったかなあ、やっぱり。
盆地でホラー、といえば、有名なジュニア文庫がありますが、それは後で気がついたぐらいで、第一、あれに勝とうなんて20年早いので、影響は受けていません。
とにかく、総力で乗り切った(あ、大林宣彦監督の一連の「町のこし映画」には、ちょっと影響受けてるかも)作品で、そうですね、かわいい、という感じです。
一点だけ、担当者と意見が合わなかったのが、「首を横に振る」という表記です。私は、「首を振る」で、充分否定の意味を表している、と思ったのですが、担当者は、断固として、『首を横に振る』だ、とこだわって譲りません。これはたぶん、私が折れたか、と思います。
それについては、私がぶつぶつ言っただけですが、担当者さん、いい仕事をなさいました。物語のラストの部分で、「ここで終わるの、納得いきません! その後が見たいんです!」と熱く語られて、それであのエピローグができました。全体に、少女の成長物語という目標は果たせたので、その点ではいい本だ、と作者は(あくまで作者は)思っております。