うらそえ日記

奇談小説家・早見慎司(早見裕司)の公式ブログです。
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20年目、美夕は無事。

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     前にも書いた通り、いまはTV「美夕」の放映終了20周年です。

     私の周りでも、また「美夕」が観たい、という声があったのですが、この度「チャンピオンクロス」というWeb雑誌で連載が再開していることが分かりました。

     TV「美夕」と、直接は関係ない、とおっしゃる方もいらっしゃいますが、まあ、いいじゃありませんか。美夕は、OVA、漫画、ドラマCD、TVと姿を変えながら、軽やかに「生きて」いるのですから。

     というわけで、調べている間に、時間が経ってしまいましたが、これを機に、新しい「美夕」が観たい、と私は思います。でも、あの「美夕」は、たしかに「『あの美夕』なんだろうなあ、と思います。

     とりあえずは、漫画連載おめでとうございます。

    吸血姫美夕 | permalink | comments(0) | -

    TV「吸血姫美夕」大昔語り・16(完)

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      (美夕の『人物像』
      『早見裕司』
      う〜んと、ビデオでは美夕は非常にコケティッシュな....っていうんですか?
      『TOMCAT』
      そうですね、小悪魔的な感じですね。だからその辺は違うでしょう、寡黙で、っていう....。
      『早見裕司』
      ええ、それはまあ、つくってる側として、西洋神魔編を経ての含みを持たせたってコトはあるんですけど。ま、もう一つは、私が書くと大体ああなっちゃうっていうのはあるんですが....。
      『TOMCAT』
      要するにやっぱスケバンラインですよね。
      『早見裕司』
      ただその時にね、父との対立っていうのは、あんまり思い浮かばないんです。スケバン刑事だってガラスの仮面だって、父親、関係ないでしょう?で、父と子の確執ってのは、ボクあんまり好きじゃないんですよ。
      『TOMCAT』
      こないだ言ってた父性の問題ですかね?
      『早見裕司』
      う〜ん、アレですね、『ジェダイの復讐』でね、ルークが「お父さんはそんなヒトじゃない」っつった時に、ああこりゃダメだ〜と(笑)。だから、父と子の相克って言ったら、やっぱボクらの年代だと『巨人の星』みたいな感じになるじゃないですか、それ女の子にした場合にはそういう関係にはならなくなっちゃうんですよね。で、ボクは対立のドラマというのはあまり書かないし、また、対立の観念が多分欠けているんだと思います。だって監督と対立したコトってないですもん。一回だけです。最初に門之園さんがキャラデザイン描かれたのを見て、これロリコン入ってないじゃないですかっつった時だけです。その時監督が、もうロリはいいよって言ったんです。
      『TOMCAT』
      まあ、平野監督って一般的にはロリで売ってるってイメージありますからね、とにかくコケティッシュでロリータなキャラを可愛く描くって....
      『早見裕司』
      で、それはいいよって言われた時、あ、そうなんだなと思って....。
      『TOMCAT』
      まあ、物語を語る際に、愛玩物としての少女では、対象になってしまうってコトですね、主体ではない。
      『早見裕司』
      それだと、14歳にした意味がない....まあ、最近14歳っつってもなぁ....。
      『TOMCAT』
      最近エンクミ(遠藤久美子)とかいってるしぃ〜、あ、あんなトコにビデオあるしぃ〜(笑)
      『早見裕司』
      だから、そもそも対立の概念がなくて、また古い日本というか、アレで行くと、近代的自我の確立と言うドラマではなくなって行くはずなんで....
      『TOMCAT』
      近代的自我の確立と言うと、夏目漱石とかそういう、あっち系ですか?
      『早見裕司』
      ....まあ、森鴎外とか、なんでしょうけども、だから明治の時にあったコトは確かですが....。
      『TOMCAT』
      近代的自我は多分確立された物じゃなくて教育された物ですよね、今ある近代的自我っていうのは....。
      『早見裕司』
      はい、あの、西欧的な物ですね。
      『TOMCAT』
      そうですね、西欧的な個人主義、近代的自我ってそれですね。だから日本には近代的自我なんてなくてですね、とりあえず、近代になっちゃったんだから近代的自我を持たなきゃなんないんじゃないの、ってトコで知識人が足掻いてる、それが明治の或る種のエートスだってコトになってますよね、ただやっぱり、一般庶民、下凡の衆ってホントにそんなコト考えてたかってぇとそんなコト考えてないですよね。なんとなく、黒船来ちゃったしよぉ、なんか、ちょんまげしちゃいけねえんだってよぉ、ってな感じで、なんとなく来ちゃってる....

      (かくて夜は更け、話は留まる処を知らず)

      TV『吸血姫美夕大昔語り』一巻の終わり

      1998年・早見慎司邸にて

      談:早見裕司(当時)
      インタビュー・ベタ起こし:TOMCAT
      協力:shof・嶋崎とんかち
       

      吸血姫美夕 | permalink | comments(0) | -

      TV「吸血姫美夕」大昔語り・15

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        (鳥の眷属について)
        『早見裕司』
        鳥神魔はですね、これは、とにかく、狙ってる一族がいるっていうコトは、最初に監督は言われたんです、それを鳥にしたのは私です。マンガの美夕は鳥が好きなんで、垣之内さんには悪いなぁと思ったんですけど、思い付いちゃったんですよ。
        というのは、田園に死すも陽炎座も原田芳雄が出てきますね、同じような感じの役どころで。あれはまあ、謂ってみれば間男ですけども。あれが着てる物っていうのは、あれ二重廻し....。
        『TOMCAT』
        合いトンビですね。
        『早見裕司』
        トンビですね、じゃ神魔トンビって名前にしようっていった時点で鳥にしちゃったんです。
        『TOMCAT』
        ああそうなんですか、じゃあ、要するにトンビを着ているからトンビだと。

        『早見裕司』
        ただ鳥にしてみると、お母さん鳥追いの感じになるんで、感じいいですよね。だから、ずっと作業が盛り上がって来ると、感覚でやってることが段々ハマってくるんですよ。これは理詰めで考えるよりも、感覚を信じた方がいいらしいです。ホントはボクは理詰めで考えたいんですけれども、理屈をねぇ、思い付かないんです。小中さんなんてのは完全に理のヒトなので、総てのコトが完全に説明できますね。というか、脚本家というのはそうでないと、脚本を通すのが難しいんです。というのは、普通の場合は、大勢のヒトが集まった中でプレゼンテーションしなきゃいけないからです。美夕は私と監督でしか打ち合わせしてないんです。
        誰も口挟んでないです。なんで、やれたってのがあって。
        『TOMCAT』
        やっぱり、じゃあ、台本会議なんかの、経験ってコトですか?
        『早見裕司』
        小中さんが?....だと思いますね。
        『TOMCAT』
        やはりプレゼン能力ですからね。
        『早見裕司』
        だから、脚本家の方ってのは、非常にプレゼンテーション上手いですね。その点では、美夕は非常に、誰にも説明しないで済んだんで....。
        『TOMCAT』
        ....非常に早見さん向きだったというコトですね....
        『早見裕司』
        ....えーっと、『母親との関係がメインで描かれているが、その真意は?』えーっと、それは、前にいいましたけど、私に父親トラウマがないせいです。
        『TOMCAT』
        ああ、なるほどね、母親トラウマはあるんですか?
        『早見裕司』
        いや、ないです、だって娘じゃないもん。
        『TOMCAT』
        つまり、家族的な欠落がないから....
        『早見裕司』
        う〜〜〜ん、まあ欠落っていうか、まあ、もう反抗期過ぎちゃったんで....で、最終的には美夕は美夕昔語りのアレになるコトがわかってたんで、そうするとやっぱり、近代的自我の芽生えじゃないんですよね。アニメージュには、「喪われた日本の原風景が描かれている」とか書いてあって、喪われたって、あんなモンあったんかいだと思うんですけど....。
        『TOMCAT』
        ま、仮想的なってコトでしょうね。
        『早見裕司』
        女の子像で、ボクはもうつみきみほ原理主義者なんで、或いはスケバン刑事なんで、そういう男のドラマってのがあって、あるんでしょうけど、今回はその、母親と娘のドラマの方が書きやすかったんでしょうね。あと、冷羽との対比で考えてもやっぱりそうなりますね。
        『TOMCAT』
        冷羽は父親だと?
        『早見裕司』
        はい、だから美夕ってのは戦闘的なキャラクターでもないんですよね。
        『TOMCAT』
        その辺一くさりちょっと語って戴けますか。

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        TV「吸血姫美夕」大昔語り・14

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          『早見裕司』
          『ツィゴイネルワイゼン』だと、まあ、あれは(監督が)鈴木清順で撮影があのひと(永塚一栄)だからというのもあるでしょうけど、女の子が出てくると出てきた時点で変でしょう? あれはね、アニメはやっぱできづらいです。
          『TOMCAT』
          そういうひとが出て当たり前のメディアがアニメですからね。
          『早見裕司』
          村井さだゆきさんが「ねらわれた学園」(TVシリーズの方)で意図的にあたかも偶然映ってるように女の子(正しくは男の子。小さな子が説明なく学校の階段に立っている)を出したりする仕掛けつくってますけど、ああいうのはやっぱアニメではやりづらいですね。あとアニメでやりづらかったのは、また美夕昔語りに戻っちゃいますけど屋台崩しやりたかったんです。田園に死すだし陽炎座だから、あれ、小屋バーンと崩したかったんですけど、それは出来ないよ、と。となりのトトロに於ける男鹿和雄さんくらいのヒトがいないと、できないでしょう。
          『TOMCAT』
          じゃ、チャッチく見えちゃうから....
          『早見裕司』
          そうです、技術的に無理です。それはあの、帝都物語の時に、中野稔さんも確かそんなようなコトを言ったような気がしますけど。だから莫大な条件があればできるんでしょうけどね。
          『TOMCAT』
          それは、やれますよね、技術としてやれることはやれるけど、条件が許さないってのはありますよね。
          『早見裕司』
          今はCGアニメもできてきたからやれるようになるのかも知れないですけどね。
          『TOMCAT』
          そうですね、確かにその、映画なんてのはみんな、コスト対パフォーマンス比じゃないですか、これだけのコトをスケジュール伸ばしてでもやる意味はあるのかっていう、それですからね。結局その、個々のスタッフのここやりたいってのを全部通してたら纏まんないですよね。


          『早見裕司』
          だから、美夕昔語りって、アレ、最初書いたら、40分くらいになっちゃうって言われたんですね。バシバシ切りましたけど....あれ、もっといろんな道具入れてやったんですけどね。美夕が踊るコトになってたんです、陽炎座なんで。でも、それもちょっと演技的に無理だったんで、あの、演技ってのはアニメーターが芝居附ける....
          『TOMCAT』
          踊りは難しいですね。
          前に言ったと思うんだけど、(「美夕昔語りの芝居のシーン)非常にコスト対パフォーマンス比がよくて、あれはもうほんと口パクとかね、ぴゃっとセルちょっと動かすとかそれくらいのコトでやってるんだけど、あたかも意図した効果であるかのように見えるじゃないですか。それで効果が出ているワケだし、非常にあれはお得だったな、と。
          『早見裕司』
          あれはやっぱり、監督がコンテ切ってるせいも大きいです。劇中劇というものを見せるというのは、これはこれでまた難しいんで....まあ、ウテナやってましたけどね。あれも寺山修司だな、そういえば。
          『TOMCAT』
          まあ、理に落ちてるトコありますよね、要するに劇中劇だから、カット割らずに1カットで長廻しだと、で動かないんだと、いうのは、非常に理に落ちるトコはあるですね、だから劇なんだよ、と。

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          TV「吸血姫美夕」大昔語り・13

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            (「うつぼ舟」の父親について)

            『早見』

             だからあの話自体が決まってたところにその時点で、冷羽と父親の関係が出てきたんで、それが一致するようになったんです。だからあの、まあ、自分で認めたくないんですけど、冷羽が来たの回と矛盾してますよね、その時点ではだってわかってないんですもん、冷羽の出自が。
            『TOMCAT』
            だからあれ、父親ってテーゼはあそこで出てるんだよね、もう、出てるけれども、とりあえずやっちゃえーって奴が冷羽なんだよっていうふうな売り方してるワケでしょう。だから、何故あそこであの、父親というには歳が近すぎるし。で、あの男は何故みんなが愛するのか、登場人物みんな愛してますよね。だから奥さんだって、遣り方はどうあれ、あの男が必要なワケですよ、みんながあの男を欲しがっているワケですよね、玉の取り合いですよね。で、結局、男の方はなんだか煮え切らない態度で、今のちっちゃい幸せがいいんだよってところで、非常にダメな奴ですよね、ダメな奴が北に逃げるってのはねぇ、日本人の感性に訴えるんですよ。電車に乗って、雪が降ってて、海岸で、って謂うと日本人泣いちゃうワケですよ。そこがあんまりちょっと、意図と違ったのかも知れないけれども、ドラマとしては間違ってないと思うんですよ。だからあそこで、うつぼ舟って何だったんだって話が出て来るワケで、今度は。渡海伝説と寄り来る物じゃ違うじゃねえかって話まで出て来るワケであって。

            『早見裕司』
            いや、あれはね、ラストだけ決まってたんですよ。
            『TOMCAT』
            あの盥に乗って、ツィゴイネルワイゼンだよんって話が?
            『早見裕司』
            はい。で、こういうラストにしましょうって監督に言ったら、じゃあおまえ書け、他のヒトに書けねえだろう。あのですね、シリーズ構成の場合は、ラストシーンを決め込むコトはできないんです。それは各話脚本の方の領分であって、決めちゃうのは失礼に当たるんです。えーっとですね、あなたの家、マンションの話、あれは最後の美夕の一言を思い付いた時点で、じゃあこれで〆めないといけないから、ヒトに振れないっていうんで、ホントは書く気なかったんですけど、書いたら、また褒められて....
            『TOMCAT』
            ああ、褒めた人間としては責任を感じますね

            *一本目終わり

            (まだ「うつぼ舟」の話)
            『TOMCAT』
            いや、だって変じゃないですか、いきなりだって、ブランコに乗ってるお父さんの隣りにいきなりポーっと出てきてですな....。
            『早見裕司』
            あの、冷羽は、人間の前には姿を現さない筈なんですよ、ていうか、変でしょう?
            『TOMCAT』
            歴然と変ですね。
            『早見裕司』
            あの、ただ、私の芸風として、小説書いてる時も一緒なんですけど、異常な事態が進行していても誰も驚かないっていう芸風がありまして(笑)....ただ、『うつぼ舟』の時は、意図的にあそこで冷羽が出てくるのは変だという、だから変に見えるように描いて欲しかったんですよ....。
            『TOMCAT』
            だから、変なんだけど変に見えないんですよ、あれね。ポーンと出てくるんじゃなくて、カメラ振ったらいきなりいるとかね..。
            『早見裕司』
            これはちょっとなんていうか、アニメの難しさかもしれないです。
            『TOMCAT』
            なんでもアリですから、要するに変さが出せない....

            吸血姫美夕 | permalink | comments(0) | -

            TV「吸血姫美夕」大昔語り・12

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              (「うつぼ舟」の話)
              『TOMCAT』
              だから、あの男にはとにかく、みんながなんかあの、あれはだから要するに世界に愛される人ですよね、あのヒトって、周りのヒトは大体みんなあの男を愛してるワケですよね。
              『早見裕司』
              いや、それが私、わかんないんです。
              『TOMCAT』
              なんであの男は愛されるんでしょう。
              『早見裕司』
              私もね、それが疑問でしょうがないです、みんなねぇ、うつぼ舟いいっていうでしょ?私別に全然好くないんですもん、好くないというと違うんですけど。
              『TOMCAT』
              あれはだから、ドラマとして好いんですよ。あれはだから、ありがちな話なんですけど、ドラマとして非常に....ええ。
              『早見裕司』
              あと、田中秀幸さん、あのヒトはすっごいいい方なんですけども....。三石琴乃さんも、気取った処のない、感じのいい方でした。まあ、人好きのする人がうまい、ってわけじゃないんですが、この回についてはそうでしたね。
              『TOMCAT』
              田中秀幸さんと三石琴乃さんだからああいう逃避行の話がね、で、しかもあのひなびた電車で、朧雪が舞っておってみたいな。
              『早見裕司』
              ただ、あれがどういう構造の話なのかっていうコトは、監督にしか説明してなくて、ほか誰もわかってないんです。演じるヒトも演出したヒトも、判ってないんですよね。
              『TOMCAT』
              あれはとにかく、早見さん所謂ところの、ポップを目指そうと。
              『早見裕司』
              ていうか、ポップにしなきゃダメだって謂うコトだったんですけども。
              『TOMCAT』
              うつぼ舟はとにかく、ドラマとして成功したんだと思いますね。だから、言われるように、土曜ワイド劇場なんですが、土曜ワイド劇場がつまらないってワケじゃないワケであって、非常にアリガチな話なんですけど、繰り返し語るっていう素型があるわけですよね、世間に疎んじられた男がですね、世の中の片隅で小さな幸せを、みたいなアリガチな話あるじゃありませんか、ああいう話ってのはどこんでもあるワケです、でも、どこんでもあるからもう語るなっていうのと違うワケで、同じ話は何回でも語れるワケですね、語り口と演者ですよね、それはドラマってモノはみんなそうですよね。なんか憧れの彼とすったもんだあったウチに、くっついて、万々歳、涙涙、っていうのが大概の恋愛ドラマのパターンですよね。だから、意匠だと思うんですよ、意匠と演者、だからアニメのところで、物語を重視したところで、あれが非常に今までの美夕的なノリで言えば、間違ってはいないワケでしょう?で、早見さんはそこで、まあポップと表現されたようなところでやらなきゃダメだろうと思ったんだけど、今までのドラマ的なところで流しちゃった結果、非常になんか、演者もあれば、話も要するに一本道ですから、要するに、奥さん死んだんだかどうだかわかんないけど、奥さん突き飛ばして逃避行っていう、心中モノですよね、心中モノってとにかくねぇ、上手くやれば盛り上がるんですよ。
              『早見裕司』
              いやあれねぇ、あの、その筋の方からも褒められて....まあ、小中さんですけどね(笑)。で、なんだ、オレってそう言う、演歌の花道な奴だったのかなと思って....(木亥火暴!!)
              『TOMCAT』
              あなた、演歌の花道なヒトですよ(笑)。
              『早見裕司』
              そーゆーのやなんですよぉ(笑)。
              『TOMCAT』
              だから、自分の内なる東北人に向き合わなきゃ。
              『早見裕司』
              だからねぇ、私はね、都会派だと思ってるんですよ(笑)。だから、それはねぇ、意識しちゃうとダメなんですよ。それで倉本聡北海道行っちゃったじゃないですか、あのヒト都会書くとホントに上手かったのに。それで北の国からでUFO出してるでしょう?だからオレ、今後そっち進まなきゃいけないのかと思ったんですけども。

              (現実には、早見は南方指向になって、沖縄に安住の地を見つけたわけだが……はて。)

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              TV「吸血姫美夕」大昔語り・11

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                『早見』
                まあ、冷羽は今回監督が非常に力入れたキャラクターですけども、要するにありゃあ、イクサー1に対するイクサー2です。そう謂えば判るだろうと言われたんです。それでボクは判りました、と、そこに言葉での説明は要らないんですよ。繰り返しになりますけど。ライバルキャラっていうのはこういうモンだ、と。で、冷羽はですね、各話の脚本の方が非常に苦手とされたモノで、設定の前にキャラクターデザインが出来てたんです、冷羽松風の、で、それ見てこれがイクサー2だって言われて、冷羽と松風ってのはこういうふうな関係だ、簡単に説明を聞いた時点で、もう台詞廻しはこれしかない、どういうふうに喋るか、アタマの中に浮かんじゃったんですね、ところが定義をしてないワケです。自分の中では自然に書けてるんでほかのかたに説明しづらいんですよ、それでかなり苦労をされました。

                『TOMCAT』
                話がとにかく表現できない、冷羽ってものが、自分で書かないと冷羽にならない?
                『早見裕司』
                言い回しってモノが....そうだったんですね。今度ラジオドラマ今やってて、ボク、とりあえず逃げたんですけど、冷羽の復活やるらしいんで、それは、おまえ書きたいだろうと監督が言ったんですけど、私は別に書きたくないけど、(他人に)書けないコトは確かなんです。冷羽と松風は、あれはもう、監督も力入れてるし、私も書いてて気持ち好いし、ナニより緒方さんが....あの、緒方さん、ボク、厳密にチェックしたワケじゃないんですけど、台詞現場で変えてるコトあるみたいです。
                『TOMCAT』
                なるほどね、じゃあとにかく、緒方さんは冷羽を掴んでいたと。
                『早見裕司』
                掴みきってますね。
                『TOMCAT』
                冷羽松風ってのは役者のものである、と。
                『早見裕司』
                そうですね、ボクはそう思います。
                『TOMCAT』
                それを台詞にする場合は、緒方さんが、役者のモノだと、キャラクターというのは....。
                『早見裕司』
                というか、緒方さんは、自分の中で咀嚼しきらないとダメみたいですね、ダメっていうのは、貪欲なんですね、だから、一番最初に緒方さんにお会いしたのは、『美夕』が偉そうに記者会見した時ですけど、とりあえず監督とっつかまえて冷羽と松風ってのはどういうモノなのか、聞いてましたね。
                『TOMCAT』
                で、最終的にはですね、松風が消えちゃったコトによって、緒方さんが考えた冷羽でしょうあれは、あの松風が融合した冷羽っていうのは、で、あれは早見さんは与り知らない冷羽なワケですね?
                『早見裕司』
                そうでしょうね、緒方さんが考えられたんだと思います。
                『TOMCAT』
                で、松風が消えて松風であった冷羽の一部が冷羽に戻って、冷羽は今までの冷羽じゃなくなりますよね、そうなった冷羽は、早見さんの中ではそんなに具体的ではなかったろうと思うんですよ、で、緒方さんの芝居から出てきたキャラですよね。だからあの後で、復活というものを書かれる場合は、今度は緒方さんが生きてらしたあの冷羽ってモノをどう捉えるかと言う問題が出て来るワケですよね。
                どう生きてくの、今まで松風と二人三脚で生きて来た冷羽は多分早見さんはご存じだろうけど、あの松風を喪った、ということは、多分あのくらいで思い付かれたワケですよね、監督からそう言う指示が出たのは、松風消そうよって話は、だとすれば、松風消えたってコトまでは最初の冷羽の中にはないわけだから、あの後冷羽は描けるんでしょうかって問題は確かに....。
                『早見裕司』
                いや、監督に考えて下さいと言ってます、で、実は監督は或る程度は考えてます....松風二号が出るらしいんです(笑)。いやあの、やっぱり、やっていきながら、あの時点になると、私が考えたのか監督が考えたのかハッキリしないところがあるんですけど、うつぼ舟のところで冷羽が、その、父親への....
                『TOMCAT』
                あれが、唐突に出て来ますよね、何の前フリもなく
                『早見裕司』
                あれはだって、その時思い付いたんですもん(木亥火暴!!)

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                TV「吸血姫美夕」大昔語り・10

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                  『早見裕司』
                  ただ、脚本は週刊ペースで、まあ、後の方かなり遅れましたが、書かなければいけないから、そこまで考え詰めて行くコトっていうのは難しいんですよね。とにかく引き出しからどんどんどんどんモノ出して行かなきゃ間に合わねえやってコトなんで。
                  『TOMCAT』
                  いや、だから、美夕26回やって、18本ですか?書かれて、多分早見クンの引き出し空っぽだろうと謂うのが。
                  『早見裕司』
                  そうなんです、ネタがなくなっちゃって困って困って、だって、長編小説にする筈だったネタ、使ってますからね。
                  『TOMCAT』
                  全部吐き出してしまいましたか。
                  『早見裕司』
                  はい。
                  『TOMCAT』
                  だからあれはホントに、引き出しの勝負だったな、って感じですよね、出さざるを得ないでしょう、やはり。美夕ってのは或る意味じゃあ、物語を語る話ですよね、キャラを語る話ではない。
                  『早見裕司』
                  はい、それはハッキリしてます。つまり今TVアニメっていうのはとにかくキャラクターがあって、レギュラーがいて、それを、悪い言い方ですけど、ガシャガシャ動かしてれば、一回終わっちゃうよっていう、で、終わってみて、さて何の話だったっけっていうのが、あるじゃないですか。
                  『TOMCAT』
                  まあ、勿論アニメの場合はキャラ人気ってモノが、アニメを見るモチベーションになってますから、それはしょうがないというのはありますけれども、たとえば、最近のアニメの作り方ってモノは、キャラをまず確立して、で、キャラっつってもまあカードボードなんですけど、で、それに対して、何回かやってく内にこの子はこう謂うコトをやる子なのっていうコトをやって、声優さんの生身のリアリティを載せてって、で、ゲストが出て来る、ゲストが出てきて、なんかしっちゃかめっちゃかやって、話が出来る、それの繰り返しですよね。要するに、レギュラーキャラってのは繰り返しの中で反復強化してリアリティを出してって、たまにゲストキャラが話を起こすっつーのが....。
                  『早見裕司』
                  そうですね、それはやるまいと。ストーリーが面白いアニメがなきゃ、特にホラーだったら、やんなきゃダメだよなと思ったために要らんことをしてるんですけど、それはだって、小中千昭さんなんかは完全にちゃんとやってらっしゃるワケですから、関西ローカルの学校の怪談なんかも送って戴いて見てますけど、話っていうモノが必要であろうと謂うコトは強力に意識していたんですね。特に最初、学園ベースだったんで、最初は都市綺談みたいな形で、考えていたんです。そうすると、一話一話のエピソードが充実してなきゃいけないんで、その意味でも『美夕の亡霊』は大失敗したんですけどね。
                  『TOMCAT』
                  だから、とにかく美夕っていうのは、話と謂うか物語を語るためのアニメであるというところがあって、アニメのサイドから確かにフォーラムとかありますけれども、うちの場合はホラーと謂う切り口で、物語的な切り口でやって行きましょうってんでそういうふうな解釈で今まで来たワケで、全然アニメの方とは意見が....
                  『早見裕司』
                  その辺では非常にFHORRORの方には救われてまして、要するにその、ストーリーで見て下さる、或いはこちらの考えてる原型は、あの、オマージュって言ってますけど、悪く言われりゃまあ、パクりって言われりゃそれまでですけど、その元が判った上で見て下さるっていうことで、これは非常にありがたかったですね。そうでないと、どうしてもアニメのファンの方は、キャラクターが、っていうコトで、なんでランカ出ないのかとか言ってました。僕も出そうって言ってたんですけど、あれ、冷羽とキャラがかぶるからなんですよね。
                  『TOMCAT』
                  そうでしょうね、美夕のライバルで美夕を負かしたコトがあって、ってコトですからね。

                  吸血姫美夕 | permalink | comments(0) | -

                  TV「吸血姫美夕」大昔語り・9

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                    『早見裕司』
                    これが僕は面白いなぁと思うんですけど、最終話っていうのは、あれは私が初めて頭使ってる回なんですね、後は悪く言えば書き流してるっていうか、感覚だけで書いてるんですけど、最終話は、あれはガッチリ総ての意味を考えて書いているんで、私の中には正解がちゃんとあるんです。つまり、散文詩的なっていわれた時に、一種前衛みたいなモノでポンポンやっていくんだったら、ガッチリストーリーラインが固まってて、作者の解釈が通ってなければ、出鱈目になっちゃうわけですよね。
                    無意味にポンポン飛んじゃダメだよねってコトで、あれはもうガーっと全部、監督と初めて、全部、こっちが質問して、アレしたのは。ただそれが、表現の上で、多義的に解釈できるようになっているのは、あれは、見て私もビックリしましたけどね。
                    『TOMCAT』
                    じゃあ、やっぱり、早見さんが思い描いていた、直線的なストーリーライン通りには絵にはなってないって形ですか?
                    『早見裕司』
                    いや、ただね、シナリオと一字一句違わないんですよ。
                    『TOMCAT』
                    それで、意味をはぐらかしていると謂うか、多義性を持たせていると。
                    『早見裕司』
                    うん、それをね、自分でどうやってやったのか、判らないんです。あのころはもう、僕、身体ぶっこわれてましたし、あんなコトやってるもんですから、だから、書かされちゃったって気がしますわな。ただあの、語弊のある言い方ですけど、前衛のファンのヒトが書くと、とにかくなんかボンボン飛ばしゃあいいんだろうっていう感じになるけれども、骨格をキッチリ決めてないと、崩しようがないですよね、だからまず、骨格は決めたんです、で、それを書いて行く上で、生理的に飛ばして行ってるんですね。
                    『TOMCAT』
                    とりあえず、頭の中に物語はあるけれども、ある種、多義性を持たせたり、或る言葉を抜いたりとか、そういう作業で....。
                    『早見裕司』
                    それが表現だろうなという。
                    『TOMCAT』
                    じゃまず、自分の頭の中にある物語を語りつつもそれを韜晦するような作業も同時にって形ですかね。
                    『早見裕司』
                    ....に、なってたんでしょうね。それはもう、26話、TVでは25本、来たから出来たコトで、最初の頃は忠実に時間軸をなぞって書いてたのが、それは監督の要望があり、いろんなコトを言われるワケなんですよ、で、ポンポンポンポン言うんで、それをどうやって全部取り込むか。ただアレ、いろいろ、要らんこと遊んでるんですけどね、そのつげ義春の奴だって、別に考えてなくって、川を渉るってのをとにかくやろうと。
                    『TOMCAT』
                    というのは?
                    『早見裕司』
                    う〜〜〜〜ん、なんなんでしょうね?(笑)
                    『TOMCAT』
                    やっぱりこの「川を渉る」ってのはイメージなんですか。
                    『早見裕司』
                    イメージですね。で、それをやった時に、ふっと想い出して、川があって、監督、石井輝男が好きだったら、こりゃつげ義春にしなきゃいけねえな、と。
                    『TOMCAT』
                    そこで紅い花であると?ああ、上手くハマったじゃん、みたいな感じですか。だから、ああいう話って、確かに少女吸血鬼の話では出ないですよね、何故出ないのか不思議なんですけどね、隠喩になっているのかと言えば、触れられていないというコトが多いですよね。だから要するに、吸血鬼なんだと、で、少女で時間が停まったんだと、で、紅い花なんだよって話をしたらですね、それはやっぱり、血が出たり入ったりするワケですから、やっぱその辺は避けて通れんだろうと、なんか意味附けするなり、或る種論考を加えるなりするのが、少女吸血鬼を扱う際の、なんか避けて通れねえモンだろうってところで、ああいう描写が出てきたんで、おおなるほど、ポンみたいな感じだったんですけどねぇ。

                    『早見』

                    その問題、他の作品では出てきませんか。いや、勉強不足で申しわけありません。

                    吸血姫美夕 | permalink | comments(0) | -

                    TV「吸血姫美夕」大昔語り・8

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                      (映像の「イメージ」)
                      『早見』そうです、ああいう奴は論理的なモンではないんですね。鈴木清順がツィゴイネルワイゼンの時小林信彦に「今回は辻褄合ってますね」、と言われて、「辻褄を合わせるのは役者の仕事だ」と、言って、小林信彦、ぶっとんじゃったんですけど。
                      まあ余談ですけど、緒方恵美さんは非常に演技について深く考える方なんで、わからないコトがあると監督に食い下がるんですけど、監督は教えないんです。で、美夕の場合は、特に私の台詞もそうで、ナニ言ってるかわかんないでしょ?
                      『ううん、私は……』、っつったところで終わっちゃうじゃないですか、そっから先は、全部役者さんが自分で考えなきゃならないんです、と言うか、「考えて下さい」なんです。美夕が、よく『そうかな……』とか『どうかな……』とか言ってますけど、あれも、決定しないんです。これは私の作風なんですけど、それはあの、言うと怒る人は怒りますけど、言っちゃうと、観るヒトの責任です。
                      つまり、アニメ、まあ映像、TVが特にそうですけど、あまりにもすべてを説明してくれるようになって、受け手が想像を膨らます余地がなくなった、逆に、すべて説明してくれないと、設定まで、ま、はなはだしきは、アニメ雑誌に全部解説を書いてもらって、それを読まないと安心しないっていう。想像力の衰退って、僕らいつも言ってるコトで、それには逆らう気があるんです。だから、美夕を観て何なんだって言ってるヒトは、自分を投影してるんですね。
                      『TOMCAT』自分の中にノーアイディアだと、或る刺激をこちらから与えているのに、それに対して何もリアクションしない、説明されるのを待っている、だからあなたの中には何もないんだ、って話なんですね。それで、例の美夕の真空であるとか……
                      『早見』だから、鏡なんです。この美夕はオレの考えてる美夕じゃないって噛み付いてるヒトは、自分の考えを投影して、川に映った自分の姿に吠えている犬のような状態だろうと、私は傲慢にも思ってるんですけど、とにかく考えて欲しいんですね。だから、台詞言い切らないで終わっちゃう時に、役者さんはみんな悩むらしいんですよ、で、自分でお考えになって、こういうコトにしようというので、役者は演技プランがありますからね。
                      ただそういうふうに、考える余地を残しておくことが一つと、もう一つはできるだけ多義的な解釈ができるようにしようと。えーっと、最初の内は全然書かなかったんですけど、最終話では、或る程度指定してて、これはネタバレにならないから言ってもいいのか、美夕が「私は死ねないの」ていう台詞があるときに、ちゃんと私は括弧書きで「死ぬわけにはいかないというコトと、死ねない定めなのだというコトの両方の意味だ」って、ちゃんと書いといたんですけどね。最終話くらいになってそうなりました。
                      『TOMCAT』じゃあ、ネタバレにならない範囲だったらいいですね、たとえば最終回に関しては、前半なんかに較べると、絶対一義的な解釈が不可能なようになってますね、なにもかも、さっきの台詞にしろ。
                      なんかあの、川に行けって言われるの、わかんないじゃないですか。川に行けって言われたら、何故かつげ義春になっていて、向こうの方に御詠歌唄うようなヒトがいてですね、一応解釈はするワケですよ、非常に解釈しやすいような筋道が通ってますからね、上流からは紅い花が流れて来るし、それは紅い花で石井輝男(異能の映画監督。『恐怖畸形人間』など)でつげ義春(カルト的な作風で高名な漫画家)で、って考えてくとですね、それは美夕は14歳で吸血鬼になった少女なんだからそういう意味なんだろうと。
                      で、その向こうに、五歳くらい、いくつかわかんないけどまあ、御詠歌唄うような幼子がいて、シジュフォス(重なる悪業の罰として,地獄でたえず転がり落ちる大石を山頂へ押し上げる永遠の空しい苦業を課せられた。以上、『世界大百科事典』)をやっとります、と。なんか直線的な時間の向こうになんだか円環的な時間の流れがあってですね、で、それを見ておいでって言った母親って、ナニ考えてるんだろうって考えると、これは解釈できないワケですね、
                      『早見』それはまあ、時の環ですね。時輪学園ってくらいで。一種の語呂合わせです。CDシネマ(オリジナルドラマCD。「美夕・ドラマスペシャル」とは違う。「CDシネマ」の1巻目)の「瞬きの街」で、山田さんが面白く使ってますけどね。時間の問題。
                      『TOMCAT』で、おっかぶせるように白い着物がいいか赤い着物がいいかって言われるでしょう、で、赤い着物白い着物っつって、それがなんか、死無がちゃんと解説しますよね、それでまたなんだか判らなくなるじゃないですか、美夕の現状は白い着物なのか赤い着物なのか、どっちでも取れるようになってるじゃないですか。
                      『早見』脚本家の頭の中には、あるわけですよ。赤か白か、はね。
                      『TOMCAT』それで、どっちでも取れる、在り方、それと非常に意味ありげな解釈しやすそうな筋道、そこで筋道を用意しながら、必ず曖昧な多義性で解釈をぶっくらけえすようなところがあるワケでしょう。要するに、型通りの解釈はないと謂う風に……。

                      吸血姫美夕 | permalink | comments(0) | -