「どうも。さぼりがちが極まってきた早見です」
「どもども。叱咤はしているアシスタントのブー吉です」
「年末だねえ」
「年末と言えば、音楽番組ですねい」
「今年も、もうレコード大賞が発表になったね」
「誤解のないように言って下さい。レコード大賞そのものは、決まっていないんでしょう」
「うん。大賞と最優秀新人賞は、12月30日に発表になるのだ」
「そういうの、父ちゃん好きですねい」
「他に趣味がないもんだからね」
「今年の大賞は、ずばり何ですか」
「本命は純烈、対抗は新しい学校のリーダーズ、大穴はAdoだね」
「純烈がそんなにお好きですか」
「私は別に、好きでも嫌いでもないけど、純烈が賞を獲れれば、来年1年はそれで営業ができるからね」
「そういう問題ですか」
「はい。そういう問題です。新しい学校のリーダーズやAdoは、放っておいてもネットでどんどん宣伝してもらえるし、あえて競争するメリットが薄いなあ、と思って」
「新しい学校のリーダーズの方が、Adoより上なのは?」
「新しい学校のリーダーズは、昭和歌謡の匂いがぷんぷんするので、おじさま方には受けるかなと思って」
「父ちゃんの予想って、どのくらい当たるんですか」
「さあ……考えたらすぐ忘れるんで。ただ、YOASOBI が作品賞(即ち大賞候補)に入らないのだけは、当てていたよ」
「なぜ、それだけは当たったのですか」
「今年の音楽番組を見ていたら、CDにレコード、配信とあらゆる媒体をデータ化してランキングをつける番組があったんだけど、その歴代1位が、YOASOBI だったんだね」
「なるほど〜」
「特別国際音楽賞という聴いたこともないような賞と『アイドル』の作曲賞を与えて、『目くばりはしてますよ〜』というポーズを見せているけど、要するに積極的に賞を与える気がないんだ、と思って。まあ、『アイドル』の曲は、私なんかが思っているのより、かなり難しいんだそうだし、幾田りらがわざとボーカロイド風に歌っているのは面白いけど、YOASOBIはもう、音楽賞とかを越えたところにいるね」
「誰にでも言えるようなことですねい」
「私に、天性のひらめきを求められても困るなあ。予想というのは、結局つまらないところに収まるものなんだよ。これで市川由紀乃がレコード大賞を獲ったら、それはそれで面白いけど」
「1年間食べられる理論ですね。特別賞のanoはどうですか」
「どうと言われても……anoは『アーティスト』だからねえ。ちょっと長年のファンとしては、今後も面白いanoでいて欲しいと思うばかりです」
「ちょっと長年というと、どのくらい前ですか」
「2017年の『咲』からだね。つまり、にわかというほどでもないけど、グループ活動してるところから、というほどでもない程度です」
「父ちゃん個人の、今年のベストは何ですか」
「まあ、BABYMETAL の『Monochrome - Piano ver. -』ですかね。かっこいいからね」
「うーむ。オラは、『オトナブルー』がレコード大賞だと思うですよ」
「ほほう。理由は?」
「父ちゃんと、セーラー服の解釈が正反対だからです」
「まあ、ねえ。父ちゃんのセーラー服は戦闘服だけど、新しい学校のリーダーズのセーラー服は、いかがわしいからね」
「父ちゃんは、ややストイックだと思うのですよ。セーラー服は、秋元康がいかがわしくしてしまったので」
「それにはあえて反論しないが、アニメの『美少女戦士セーラームーン』(旧)は、女の子のファンも多かったんだよ。当時、セーラー服が制服の学校は、わりと少なかったらしい。これは豆知識だ」
「なるほど」